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日本人は本当に働くことが好きなのでしょうか?それとも、シニア層に特有の考え方なのでしょうか?

バイドゥと夢の街創造委員会は、50歳以上のHao123トップページ利用者およびシニア・ナビ会員を対象に、「ビジネス」に関する調査を実施した。調査は3月9日~4月5日にかけて行い、480件の有効回答を得た。

中略

定年退職という制度がなかったら、働ける限り何歳まででも働きたいと思うか聞くと、76.5%が「はい」と回答した。定年退職制度がなければ働きたいと感じているシニア層が多いようだ。もし起業資金を得ることができたら、起業してみたいと思うかという問いに対しては、56.5%が「はい」、43.5%が「いいえ」と回答した。2015/5/3 マイナビニュース

といった、記事が出ていました。「働ける限り何歳まででも」というキーワードを約8割の人が肯定しているという結果は、かなりすごい結果ですね、。生涯現役を志向する人が本当に多いなら、定年制度は、働きたい人から仕事を奪っているという言い方もできてしまいますから。

さて、このような統計調査を見る際には「ふーん8割のシニア層が生涯現役を志向しているんだね…」と単純に捉えても良いのですが、もう一歩踏み込んで考えてみると色々なことが見えてきます。
  • アンケート対象者について
まず、『50歳以上のHao123トップページ利用者およびシニア・ナビ会員を対象に』と書いてありますが、この人たちは本当に、片よりなくシニア層の意見を代表している人たちなのでしょうか?

例えば、公務員さんに「公務員のお給料を今後引き下げるべきか?」といったアンケートを取れば、当然、「いや、現状でも低いくらいだ。むしろ上げるべき」といった回答が多くなることが想定されますよね?

または、都内在住の富裕層に「所有している車の価格は?」といったアンケートを取って、1,000万円といった結果が出たとして、「都内に住んでいる人が所有している車の平均価格は1,000万円」なんてことを発表したら「ちょっと待てよ?」と思いますよね。

この視点で見る時に、果たして『Hao123』の利用者、『シニア・ナビ会員』さんにそういったバイアスがかかっていないかをチェックする必要があります。(Hao123はよく分かりませんが、シニア・ナビ会員さんはトップページを拝見する限り、どちらかと言えばアクティブな人たちが多そうです。)

このように、アンケートの結果を見る際にはどのような母集団に対して行ったアンケートであるかも合わせてみないといけないのです。
  • 働くという意味について
さて、つぎは「定年退職という制度がなかったら、働ける限り何歳まででも働きたいと思うか?」という記述です。これは我々現役世代からすると「生涯現役という事は、フルタイムで働くという事かぁ。シニア層はスゴイな…」と考えてしまうかもしれませんが、『働く』という言葉がしっかりと定義されていません。

つまり、「ちょっとした仕事を何歳までも続けたい」と考えているのか「フルタイムで働き続けたい」と考えているのかが分からないのです。

但し、この文脈では「定年退職という制度がなかったら」と言っていますので、おそらく現在の働き方を続けるといった想定になるのかなぁとは読み取れます。しかし、それを明記していないので「ちょっとした仕事を何歳までも続けたい」と考えている人も、この問いにYesと答える可能性はのこっています。
  • 数字で示される情報には特に注意する
このように、数字を示している情報は一見すると真実であるような気がしてしまいますが、誰を対象に集めた情報なのか?言葉の定義ははっきりしているのか?といった視点で少し立ち止まって考えてみればまた違った事柄が見えてくるかもしれません。

そして、何らかの目的があって、このようなバイアスをあえてかけてくる場合もあります。数字が示された情報を見て「おっ」と思ったような場合には、このように、「誰を対象に集めた情報?」「言葉の定義は」といった視点で見てみると、情報をしっかりと読み取ることができるようになるかもしれませんね。

最後に記事タイトルの回収になりますが、『約8割のシニア層が定年制度が無ければ働きたい』という統計は本当?という疑問の答えは、そこまでは言えないのでは?といった感じになります。